アトキンソン 「中小企業白書」2019年版を見てみると、1社当たりの平均社員数は、大企業が1308人に対して、中堅企業は41人、小規模事業者は3人です。だから小規模事業者はほんとうに小さい。大企業の労働生産性は826万円ですが、中堅企業は457万円、小規模事業者は342万円と大企業の半分以下です。
佐藤 それでも中小企業が多いのはやはりメリットがあるからですね。
アトキンソン 手厚い中小企業優遇策が取られています。補助金もありますし、法人税の減税や欠損金の繰越控除、交際費課税の特例など、さまざまな税制優遇もあります。特に法人税は資本金1億円以下を優遇していますから、規模を大きくしようというインセンティブが働かない。
佐藤 まさに政策の結果ですね。
アトキンソン だから日本の中小企業は成長しない。中小企業295万社の調査では、2012年から16年までに成長したのは、7・3万社、わずか2・5%でした。
佐藤 もともと小規模業者は成長しようとは考えていないかもしれない。
アトキンソン それは「成長をするべき」と、指導するべき人が言ってこなかったからです。そもそも管轄する省庁の名前が「中小企業庁」です。中小企業の数に価値があると考え、中小企業であれば守ろうという組織になっています。
佐藤 当然、中小企業対策には乗り出さない。
アトキンソン だから最近、私は中小企業庁を「企業育成庁」という名前に変えるべきだと言っています。そうすれば、成長しなければいけないと気がつく。
佐藤 優遇に期間を設けておけば、成長を目指す小規模事業者も出てくるのではありませんか。
アトキンソン ええ。最良の中小企業政策は、企業がその事業の最適な大きさに成長するまでの支援です。私は2060年までに中小企業の数をいまの半分の160万社にすべきだと考えています。
(抜粋)
全文
https://news.yahoo.co.jp/articles/15f3849d37c7e737650713f39c66905c045dc98d?page=3
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