消極的な意見が目立つ日本
一時はアメリカで一番の感染爆発スポットだったニューヨーク。この街に住む筆者はかねてから、世界的に見て日本の新型コロナウイルスの感染対策は成功しているとずっと思っている。
日本はPCR検査が充分に行われていないから感染者も少ないのだという一部の声も聞こえてくるが、4月ごろまで、誰でも気軽に検査を受けられる状態ではなかったのはニューヨークも同じ。何より日本は死者の数が他国と比べて圧倒的に少ない。
例えば、日本もアメリカも医療現場は最新設備で整っている先進国だが、日本全体の死者数は981人だ。一方、人口が日本の2.5倍強のアメリカ全体では死者数は13万3885人と、こちらも桁違いなのはどういうことだろうか。日本は押さえ込みに成功している方だと、もう少し胸を張ってもいいはずなのだ。
「最悪期を乗り越えた」ニューヨーク
例えば、日本では感染防止のためにせっかく再開した学校給食を「無言で食べる」ことを推奨したり、外出してアクティビティを楽しむこと自体が「悪」と捉える傾向がないだろうか。
筆者は子どもたちに無言で給食を食べさせるくらいなら、校庭などにテーブルやピクニックシートを置いて、楽しく会話しながら食べた方が良いと思うし、またビーチなども人数制限をもうけながら解放するのが良いと思う。
特に現状のような押さえ込みができている状態にもかかわらず、メディアなどで非常事態宣言の必要性について投げかける意見を聞いたのには正直驚いた。なかなか良い心がけだとは思うが、極端すぎやしないか。
中略
日本のメディアは第二波への恐怖を煽るように、「今日は感染者~人でした」
「どこどこの社員の感染が確認されました」と、毎日センセーショナルにニュースを流す。感染拡大を阻止し、他人に迷惑をかけないようにという考え方は日本人としての美徳だ。
しかし、あるニューヨーカーに「日本の人は感染者数を毎日ニュースでチェックして、一喜一憂しているらしいよ」と伝えたところ、「ニューヨークも十分注意はしていかないといけないけど、ウイルスとの闘いは長いからなぁ」という答えが返ってきた。
そうなのだ。ウイルスとの闘いは今日明日ではなく、これからもしばらく続いていく。短距離走ではなくマラソンの心持ちが求められる。他人に迷惑をかけないという配慮ある国民性に日本は自信と誇りを持ちつつ、もっとリラックスして柔軟な考え方で、これからも続くウィズコロナの生活を楽しみながら乗り切っていくことが必要なのかもしれない。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73958
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