幻の帰宅案と相部屋問題に…新型コロナ帰国者めぐる「想定外」の舞台裏と教訓
(略)
厚労省担当者:
「今回(第一便)は検疫官や医師を乗せていき、機内で健康チェックをして、感染が疑われた場合には機内の場所を分けてさらに検査し、羽田かどこかに着いてからも隔離して引き続き対応します。そうでない方は帰宅してもらい経過観察と…」
自民党議員:
「ちゃんと2週間でもなんでもしっかり検査して様子を見た方がよいのでは」
厚労省担当者:
「症状もない人も留め置くということは、検疫の方の考え方ではちょっと…」
自民党議員:
「それで責任取れるのか?」
厚労省担当者:
「・・・」
自民党議員から突きつけられた厚労省の方針へのNO。
さらに、その後首相官邸で行われた会議で厚労省担当者が「症状が見られない人については、帰国後に全員自宅などに戻ってもらう対応を取る」との方針を示したところ、安倍首相が「それはあり得ない」と決定的な異議を唱えたのだ。
(略)
その法的強制力に関しては、ギリギリの政治主導で実現させた案件があった。武漢を含む湖北省などに直近で滞在した外国人の入国を拒否する措置だ。
入管法5条1項14号には、「法務大臣において日本の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」の入国を拒否すると定めている。
安倍首相は森法務大臣らに対し、この部分の解釈で入国拒否を実施できるか検討を指示したが、政府内では、「人権尊重の観点から適用は困難」との意見もあり、賛否が分かれていたという。
政府関係者によると、安倍首相や森法務大臣らが前向きな姿勢を示す一方、北村国家安全保障局長や佐々木出入国管理庁長官らが当初、入管法の適用に難色を示していたという。
最終的に政府は、新型コロナウイルスへの対応を「安全保障上の問題と位置づける」ことで、入管法5条を適用することに正当性を見出したのである。
感染拡大を阻止するために、政府がひねり出した苦肉の策であり、ギリギリの判断だった。
(略)
https://www.fnn.jp/posts/00050551HDK/202003040700_seijibu_HDK
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